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リハビリテーションの特徴

‐ リハビリテーションの特徴

当院のリハビリテーション部門は、眼前に存在する臨床的ニーズに応えることはもちろん、開院以来様々な新しい試みを定着させてきました。退院後の社会復帰に欠かすことのできない自動車運転能力の評価に対する取り組み、高まる健康志向の中でのプロ、アマチュアを問わずスポーツ愛好家へのリハビリテーションと障害予防、「見えない障害」と言われる高次脳機能障害やQOL(生活の質)向上に欠かせない「食べる」行為(摂食嚥下=せっしょくえんげ)に対する評価とリハビリテーション、先端的リハビリテーション医療としてのボツリヌス療法やロボットスーツの臨床適用・開発に対する取り組みなどです。
これらの分野に取り組むスペシャリストたちが、それぞれの分野を超えて、当院を利用する方々のために日々連携をとりながら「より良い日常」の回復をお手伝いします。

自動車運転再開支援のリハビリテーション

自動車運転再開支援のリハビリテーションとは 脳卒中などのご病気で運転に必要な認知・予測・判断能力などに障害を負われた方が、安全に自動車に乗ることができるかを評価し、運転免許センターでの運転の可否判断の助言を行うものです。脳卒中などのご病気になった後は、運転を再開する前に運転免許センターで臨時適性検査を受けなければなりません。検査を受けず、事故などに巻き込まれた場合、過失を問われることがあります。
当院で、自動車運転再開支援のリハビリテーションを行うには、主治医の先生からの紹介状が必要となります。対象となるのは、脳卒中などのご病気で運転ができるかどうか心配な方です。リハビリテーション開始の目安は、日常生活の動作が一人ででき、自宅周辺の散歩や買い物ができることです。
当院の自動車運転のリハビリテーションは以下の図をご参照下さい。

障害と自動車運転に関する研究会(外部サイトに移動します)

自動車運転再開までの流れ
脳卒中などの病気の後に自動車運転ができるかどうかの目安

□ 日常生活(食事、更衣、整容、入浴、トイレ動作)が一人でできる
□ 一人で外出ができる

※上記全てができたら、自動車運転を再開して良いか、主治医の先生に相談してください。

主治医の先生に相談すると、自動車運転ができる状態か判断していただけます

主治医の先生が、判断が難しいようであれば、紹介状を頂いて、当院の医療相談室へご連絡ください。
当院で自動車運転ができる状態か評価し、主治医の先生へ情報を提供いたします。

判断が難しい時
当院の自動車運転評価の内容
  • ハンドル、ペダル操作(運動機能)
  • 認知・予測・判断(高次脳機能)
  • シミュレーターによる評価
  • 自動車学校で自動車運転の技能評価

※上記の評価を必要に応じて実施します。

主治医の先生の判断

当院での評価結果を、主治医の先生へ情報提供いたします。
主治医の先生に判断していただいてください。

運転ができる状態と判断された時
運転免許センターへ連絡

自動車運転再開の可否判断は運転免許センターで実施されます。

高次脳機能障害が自動車運転に及ぼす影響

高次脳機能障害の例:注意障害、半側空間無視、遂行機能障害など

摂食嚥下リハビリテーション

摂食嚥下とは

口の中の飲食物を胃まで送り込むはたらきのことを「嚥下」といいます。簡単に言うと飲み込むことです。
これに対して、「摂食嚥下」ということばはもう少し広い意味をもっていて、飲食物を口に取り込んだり、咀嚼をしたりするはたらきも含まれます。

嚥下に関わる器官

嚥下の5つの過程

~摂食嚥下の過程は下記の5つに分けられます~

先行期:何をどのくらい、どのように食べるかを判断する時期
準備期:食物を口に取り込み、咀嚼し、唾液と混ぜて飲み込み易いように食塊をつくる時期
口腔期:食塊を舌によって口からのどへ送り込む時期
咽頭期:食物をのどから食道へ送り込む時期
食道期:食塊を食道内から胃へと送り込む時期

(1)~(5) どの過程で障害が出ても嚥下障害を引き起こします
※摂食嚥下障害とは=食べる能力に広く関わる障害

摂食嚥下障害が疑われる症状

  • むせる
  • 食事をするとのどがゼロゼロという
  • 飲み込みにくい
  • 食物がのどの奥でつまる感じがする
  • 飲食物が鼻からもれる
  • 食べたものが口に逆流する
  • 食事に時間がかかる
  • 味や温度などの感覚が鈍い
  • 体重が減少している

誤嚥性肺炎や窒息の危険があります!!

当院での嚥下障がい患者さんへの取り組み

(1) 摂食場面評価
実際の摂食場面を評価して留意点の有無を確認します。当院では定期的に評価を行い、状態変化に適宜対応しています。
(2) 環境設定
患者さんの状態に応じて食事場所や食器の選択を行います。
(3) 食形態の調節(水分も含め)
患者さん個々の状態に応じて食事形態やとろみ調整食品の必要性などを選択・決定します。
(4) 嚥下造影検査(VF)の実施
X線透視装置を用いて、外見からでは観察することのできない嚥下にかかわる器官の動作をビデオに記録してスロー再生し、摂食嚥下障害の症状を分析・診断します。
(5) 嚥下内視鏡検査(VE)の実施
鼻腔より軟性内視鏡を挿入して咽頭・喉頭を観察します。X線被爆の心配がなく、ベッドサイドでも実施できます。
(6) 嚥下体操
覚醒の向上や口から首、喉頭、肩の筋のリラクゼーションを図り、食事の準備を行います。準備体操後に食事を開始することにより、スムーズに食事摂取が可能となります。
(7) 座席表の作成
患者さん一人ひとりの摂食状況及び留意点を病棟スタッフ誰が見てもわかるようにするために作成しています。
(8) 摂食嚥下障害検査入院
施設入所や在宅療養している方の摂食嚥下機能の検査評価入院を受けています。
4日間の入院でVFやVE検査など詳細な評価を行い、食事形態、食事介助、施設や自宅でできるエクササイズなどのアドバイスを行います。脳卒中や頭部外傷などの病気・けがにより、前よりもうまく食べられなくなってきた、飲み込みが悪くなってきた、ムセがひどくなってきた、というような状態がある方を対象にしております。
当院の医療相談室にお問い合わせ下さい。

高次脳機能障害への取り組み

高次脳機能障害とは

病気や交通事故などにより脳の一部に損傷を受けた結果、言語や記憶、注意集中力等の脳の働きが障害され、家事や自動車運転等の日常生活や社会生活(就労等)に支障が生じた状態をいいます。高次脳機能障害の一例としては、半側空間無視や遂行機能障害・記憶障害といったものがあります。

当院での高次脳機能障害患者さんへの取り組み

当院では高次脳機能障害の患者さんに対し、どのような高次脳機能障害を呈しているかを詳細に評価するとともに、高次脳機能障害に対する訓練や日常生活上の注意点の指導を行っています。高次脳機能障害を呈している患者さんは、一人ひとり状態が異なります。そのため、患者さん一人ひとりの状態に合わせた検査、評価を行い状態を詳細に把握することにより、それぞれにあった訓練プログラムを立案し行っております。また、家族指導や生活上の助言等も併せて行っています。当院ではさらに、高次脳機能障害者の自動車運転再開に際しての検査、評価のほか、物忘れ外来を受診される方の認知機能の評価も行っています。

スポーツリハビリ


多くのスポーツでのケガは、それぞれの競技に特化した動作の繰り返しや筋力・柔軟性・安定性・協調性といった体のバランスが崩れることによって生じます。スポーツでのケガの多くは適切なリハビリを行うことで、ほとんど改善することができますが、悪化すると手術が必要となる場合やその後の選手生命にも関わることがあります。

「病院に行くとすぐに休めや手術と言われるのではないか」とお考えではありませんか?もちろんケガの状態によっては安静や手術が優先とされる場合もありますが、当院では運動療法を優先とし、物理療法やテーピング、装具療法も併用することで一日も早い競技復帰を目指します。また、スポーツによって生じたケガに対する治療だけではなく、全身の状態や動作を詳細に診察することでケガの原因を明らかにします。さらに、スポーツでのケガを予防するにはセルフケアが重要です。私たちは選手の症状・状態をしっかりと説明し、選手個人が納得してコンディショニングを継続し、再発予防出来るようにも力を入れて取り組んでいます。

また、実際の競技復帰に向けたトレーニング(アスレチックリハビリテーション)の際には、併設の「メディカルフィットネス ロコパーク」と連携し、競技種目を考慮したプログラムの作成を行っており、理学療法士やトレーナーとともに実践しています。

万が一、手術が必要な場合には、他院の整形外科と綿密な連携のもと、術後早期から当院にてリハビリテーションを開始できる体制が整っています。 当院スタッフはアルビレックスBC・BB、社会人硬式野球部、新潟医療福祉大学強化指定クラブ、高校硬式野球部等と、練習や試合での帯同活動やプレシーズンにおけるメディカルチェックの支援を行っています。また、他院の医師・理学療法士の協力のもと新潟県全域の小中学生野球選手を対象に、早期に野球肘の発見を目的とした野球肘検診を行っており、多くの野球選手が受診されています。

上記のように当院スタッフはスポーツに関して豊富な治療経験を持っており、スポーツでのケガや何かお困りのことがございましたら、当院のスポーツ外来を受診し、御気軽にご相談下さい。

ボツリヌス

ボツリヌス療法とは

脳卒中や神経難病などが原因で、手の指が握ったまま開かない、肘や手首が曲がったまま伸びない、膝が曲がって伸びない、足が曲がって踵がつけない(尖足、内反変形)、手足がつっぱって痛いなどの症状がおこることがあります。この症状を引き起こす筋肉の過緊張状態を痙縮といいます。痙縮をやわらげる新しい治療法として「ボツリヌス治療」が2010年10月に厚生労働省より認可されました。ボツリヌス療法は、ボツリヌス菌が産生するボツリヌストキシンを有効成分とする薬(ボトックス)が使用されます。この薬をつっぱっている手足の筋肉に注射すると筋肉がやわらかくなり手足が動かしやすくなります。

ボツリヌス療法に期待できること

「手足がやわらかくなり動きやすくなる」、「つっぱりによる痛みがやわらぐ」、「手指の握りこみが改善し爪切りがしやすい」、「手のひらや指の間が洗えるようになる」、「肘や手首が伸びて洗いやすい」、「袖が通しやすくなる」、「足がしっかりついて歩行が安定する」、など生活動作を行いやすくなります。

当院での取り組み

ボツリヌス療法では、注射と合わせてリハビリテーションを行うことで、より長く高い効果が期待できると言われています。
当院では、医師を中心としたチームで取り組んでいます。理学療法士、作業療法士もそのチームの一員で、ボツリヌス療法前後での評価・治療を実施しています。


理学療法部門の取り組み

脳卒中による下肢の痙縮は、足首が内反尖足(写真上)となったり、足指が曲がったりしてしまい、歩きにくさや痛みを引き起こします。ボツリヌス注射後の理学療法士では、主にそのような痙縮による歩行障害に対して、歩要の改善や歩行の安全性向上を目的に実施しています。

当院では、ボツリヌス療法前後の状態の変化を見るために、筋緊張や関節可動域の評価に加え、シート式下肢加重計ウォークWay(写真下)を使用して、歩行の評価を行っています。
ウォークWayでは、歩行中に足の裏のどの 部分に体重がかかっているかや、歩幅の大 きさなどを正確に測ることができます。
ボツリヌス注射と合わせてストレッチや歩行 練習などを行うことで、痙縮の改善、歩き 方の再学習を図っていきます。
また、必要 に応じて装具の調整や自主トレの指導な ども行います。 また、歩行障害だけでなく、下肢の痙縮に よる関節可動域制限のために、オムツ交換などの介護が困難となっている場合など にも、ボツリヌス療法、ストレッチを行うこともあります。

作業療法部門の取り組み

当院の作業療法部門では、手指・肘・肩などの上肢帯の痙縮に対してのボツリヌス療法前後に評価・治療介入を行っています。治療の目的には、痙縮による動作困難や日常生活動作の質の改善、痙縮による痛みの軽減や皮膚の清潔保持、介助量の軽減が主として挙げられます。浅指屈筋などは各指に打ち分けていることも当院の特徴の一つです。
治療では徒手的な治療と並行して、PASシステム(写真)やNESSなどの電気刺激による治療、装具療法や自主トレニーングの指導、シーティング調整、HAL®による治療を行っています。
また、理学療法部門と連携し、下肢の痙縮治療後も同様に、基本動作や日常生活動作の質の改善を目的に介入も行っています。
ボツリヌス療法により、患者さんの目的とすることに少しでも近づけるように実施しています。

PASシステム
装具療法
自主トレーニング

HAL®(Hybrid Assistive Limb®)

HAL自立支援用下肢タイプ装着

HAL®自立支援用(下肢タイプ)

HAL®自立支援用(下肢タイプ)は下肢の運動支援のためのロボットです。 HAL®自立支援用(下肢タイプ)は世界初のサイボーグ型ロボット技術を下肢の運動支援のために福祉用として製品化されたものです。 人が筋肉を動かそうとしたとき、脳から運動ニューロンを介して筋肉に神経信号が伝わり、筋骨格系が動作します。その際に微弱な生体電位信号が皮膚表面に現れます。HAL®は装着者の皮膚表面に貼付されたセンサでこの信号を読み取り、搭載されたコンピュータによって信号を解析し装着者がどのような動作をしようとしているのかを判断して、その動作をサポートします。下肢に障がいのある方々や、脚力が弱くなった方々の筋力の代わりとなり、下肢動作や歩行などのトレーニングのために、さまざまな施設で活用されています。
HAL®を使用したリハビリテーションは、主に回復期病棟で実施しています。専門研修を受けた医師、理学療法士、専門アシスタントが使用可能かどうかをチェック、評価を行い対応しています。対象の疾患は脳血管障害による片麻痺(回復期、慢性期)、脊髄損傷後の不全麻痺、その他立ち座りや歩行動作に不自由を感じる方、補助が必要な方に実施しています。
HAL®を使用することにより、歩行が速くなる、歩行の姿勢が良くなる、下肢の動かし方が分かるようになる、歩くことへの意欲が高まったなどの声が聞かれています。
HAL®は研究開発段階ではあるものの、当院は積極的にリハビリテーションに取り入れ、身体機能改善の可能性を広げ、患者さんの生活の質の向上に努めています。
従来のリハビリテーションと組み合わせて、先進的なリハビリテーションを提供しています。

HAL®自立支援用(単関節タイプ)

当院では平成27年8月よりHAL®自立支援用(単関節タイプ)を導入しています。HAL®自立支援用(下肢タイプ)の基本原理を利用し、膝関節又は肘関節の随意的運動訓練をアシストします。アシストしようとする関節の筋肉に生体電位信号を計測するための電極を貼り、コントローラで必要な設定を行うことでアシストすることが可能となります。
装着者へのフィッテングやコントローラでの詳細な設定などは専門研修を受けた医師、理学・作業療法士、専門アシスタントが行うため、その人の状態にあった利用が可能です。
対象は筋収縮のある肘や膝周囲筋の麻痺(脳血管障害による片麻痺や脊髄損傷による不全損傷など)があります。現在はまだ研究開発段階ですが、実施された方からは「肘が伸びやすくなった」「腕が軽くなった」などという声も聞かれています。上下肢の集中的リハビリテーションであったりボトックス治療後の活用であったりと、従来のリハビリテーションと組み合わせることで、より質の高いリハビリテーションを提供しています。