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野球手帳

‐ 野球手帳 ~少年野球を通じた、子供たちの肘を守る取組みと思い~


成長期の子どもは、軟骨が多く骨が柔らかいため、投球動作を繰り返すと、肘の軟骨や骨が筋肉に引っ張られ、傷つくだけでなく、小さく剥がれます。重傷のケースでは骨が壊死することもある。これらは「野球肘」と呼ばれ、最悪の場合、手術を受けたり、長期間野球ができなくなるなどします。
子どもの野球肘は30年以上前から問題になっていたが、少年野球の現場では誰もそんなことを知らずにきました。

当院院長の山本は、2006年から仲間の医師と理学療法士を集め、定期的に肘の検査をスタート。さらに、さまざまな団体と講習会を開き関係を築いていきました。その成果として、“新潟県青少年野球団体協議会”(※)との協働により野球障害の検診や治療内容を経時的に記録でき、保護者も使える手帳として、『野球手帳』が誕生しました。

 

内容は「成長期の骨や関節の特徴」「成長期の野球選手に多い障害」についての解説、「障害予防チェック法」や「ストレッチング」、「投球動作の基本」など故障を予防するための基本が記載されています。また選手自身が障害の記録を残し、からだの管理が出来るように「野球肘検診の記録」や医療機関との「連絡欄」などを設けました。

この手帳は、今では新潟県内の野球チームに所属する小学5年生、全員に配られ、選手の体をケアするツールとして活用されています。

「この手帳には、保護者に正しい情報を知ってもらいたいという思いも込められています。監督やコーチは一人の選手をずっと見ていることはできません。でも、保護者はマンツーマンで観察することができる。子どもの様子がおかしいなと思ったら、『野球手帳』を読んでチェックし、練習を休ませる。それでも治らなければ整形外科を受診する、という判断ができるようになってほしいのです」

野球団体と連携し、定期的に子ども達を検診する体制を作り上げた取り組みが評価され、WHOが主催する『運動器の10年』で、日本賞を受賞しました。

「野球肘は指導者や保護者が気をつけていれば、予防できる障害です。整形外科医はそのサポートをしていく。『野球手帳』を通じて未来のアスリートを育成する体制ができつつあります。新潟でできたことが全国に広がれば、こんなに嬉しいことはありません」